減り続ける門真の人口、近未来へ期待の動きと大きな課題

門真市役所
再開発

門真の人口は今後、どこまで減っていくのでしょうか。

先月2022年4月1日時点で門真市の人口は11万8742人(6万3099世帯)となり、12万を切っています。

平成の初め、1990年代初頭には14万人を超えており、「門真の人口は14万」と覚えていた記憶がありますが、1999(平成11)年に14万人を切り、その12年後の2011(平成23)年には13万人台となり、昨年2021(令和3)年7月から11万人台に突入しました。

各年10月1日現在の住民基本台帳法に基づく数値では、平成4 (1992)年に記録した「14万3307人」が門真市で最多の人口となっており、その後は減り続けている(「令和2(2020)年版門真市統計書」を一部加工)

人口の数値は、国が5年に1回行う「国勢調査」の結果と、市役所が持つ住民基本台帳によるものと2種類あり、若干数値が異なっていてわかりづらいのですが、ここでは住民基本台帳による門真市(市役所)の統計を見ていきます。

市が発行する「門真市統計書~令和2(2020)年版」によると、1992(平成4)年の14万3307人(5万4390世帯)がこれまでの最多となっていました。

1988(昭和63)年から1993(平成5)年までは14万3000人台を維持しており、そのころ門真に住み、高校や大学へ通っていた身からすると、「ずいぶん減ったなあ」という思いがします。

そもそも日本全体で人口減になることは確実なので門真だけが特別ではないのですが、枚方市のように1990年代から人口を大きく減らしていない自治体もあります。

寝屋川・門真・守口は特に苦しい

北河内地域の自治体で見ると、寝屋川市(1992年比▲31,594人)と門真市(同▲24,565人)、守口市(同▲17,178人)の人口減が顕著で、大東市(同▲9,891人)も減っています。(※数値はいずれも各市の統計書による1992年の人口と最新の公表人口を比較したもので、国勢調査の数値とは異なります)

北河内の中核市・枚方市では約40万人の人口は大きく減っていない

一方、交野市(1992年比+11,043人)や四條畷市(同+4,313人)、枚方市(同+3,303人)は1992年時点と比べて人口が増加していました。

高度経済成長とともに地方から大量の人が流入し、昭和時代に栄えた寝屋川や門真といった街が平成の30年超で凋落し、交野や四条畷のように宅地開発の余地を残していた「若い街」が人口を増やしています。

枚方は当時から現在まで北河内を代表する“40万都市”だけに市域が広く、学研都市線(片町線)沿線など昭和時代は発展途上だったエリアを含んでいたことも人口が減っていない理由かもしれません。

結婚や出産を機に門真を出ていく

北河内地域で見ても人口が減っているのは門真市だけではないのですが、生まれてから成人するまで門真で過ごした身からすると、「狭くてイメージが悪いし、選ばれないのは仕方がない」という諦めに似た感覚が今も抜けません。

「家賃が比較的安く、移動はそれなりに便利」くらいしか良い部分が思い浮かばないのです。

この2つだけでも人を誘引する魅力といえなくもないのですが、「結婚や出産、家の購入などライフステージが想定される年代で転出超過が顕著に表れています」(第6次総合計画)と市の公式文章でも指摘されているように、結婚して子どもを持った時には、門真に住み続ける理由が見つからないという大きな弱点があります。

2012(平成24)年に閉校した第六中学校の古い校舎は今も門真市役所の庁舎として使われている

かつて他の自治体と比べて子育て世帯に対する支援が遅れていると言われ、現在は昭和時代に建てられた古い校舎の小学校や中学校もいつ消されてしまうか分からないというような状況があり、「子どものためにも早く門真から出ていこう」との考えにいたってしまうのも当然のことでしょう。児童・生徒の減少にともなう小・中学校の統廃合議論は今後も止まることはありません。

また、爆発的に人口が増えた高度経済成長期の名残りから「低廉で老朽化した賃貸住宅」(第6次総合計画)が多いのも門真の特徴で、狭い市域に古い住宅がぎっしり埋まっているエリアが今も目立ち、道路が狭く、住環境もいまいちです。

そうした賃貸住宅は、住み心地が良いとは言えないまでも、昭和時代はまだ古くはなく低家賃は人を呼び込む“魅力”にもなっていましたが、建物が老朽化して住民も高齢化した現在では防災や防犯面からも大きな課題でしかありません。

高齢化で空家はますます増え、住宅が密集した狭い道路には消防車も入れず、火災が起きれば大きな被害につながるでしょう。古い住宅では大きな地震にも耐えられません。

近未来へ向けた動きは止まらず

門真を取り巻く課題を挙げればキリがないのですが、それでも目に見える形で近未来へ向けた動きが止まっていないのは希望を感じさせられるところで、令和時代になってもまだ「新駅」の計画が具体化している地域は多くありません。

また、市内のいたるところで再開発を前提とした空地が出現しており、一部では工事が進展しています。

松生町にあったパナソニックの工場(南門真地区)跡地は11万6000平方メートル超の広さを持ち、三井不動産が商業施設やマンションなどへの再開発を進める。大阪モノレールの延伸時には近くに新駅も設けられる予定

市の中心部(門真市駅・古川橋駅付近)や南西部(松生町や三ツ島方面)では大阪モノレールの延伸・新駅計画があり、門真市と古川橋の両駅前では再開発計画も始動しています。松生町にあったパナソニック巨大工場(南門真地区)の跡地開発も期待が膨らみます。

市の端にあるためか“放置感”を漂わせていた北東部(大和田駅・萱島駅周辺)でさえ、大和田駅前のバスターミナル改良構想や、萱島駅前の道路拡張計画といった動きが見られるようになりました。

南東部(国道163号線から門真団地にかけての一帯、旧「四宮村」)では、地域の核となっている門真団地周辺で、公的団地の建て替えを機とした“街の改良”に驚かされます。

こうした門真市内の各地域で見られる近未来への動きは人口増への契機となるのか、何よりこれまで人口密度の高すぎた街で人口減をプラスに変えるまちづくりができるのか、今後も動向を見ていかなければと思います。

(2022年5月7日時点の内容です)