小・中学校の統合だけでなく、門真市民向け「公共施設」の縮小も避けられないようです。
人口減少社会を迎え、市は「公共施設」の縮小や建て替えなどの方針を盛り込んだ「門真市公共施設再編計画(案)」を2024年2月に公表し、3月15日まで市民意見を募集しています。
この再編計画案は、今から約20年後の2045(令和27)年には門真の人口が9万856人(2015年度比約26%減)に減少するとの見通しから、市が公共施設の延べ床面積も26%以上減らさなければならない、との考え方で策定したとのこと。
また、門真では高度経済成長期の急激な人口増加にあわせて建設された公共施設が多く、全体の約4割が建設から半世紀以上となり、約2割が築40年以上だといいます。
建物が老朽化しているうえ人口も減少するということが今回の再編計画案につながりました。
再編計画案に盛り込まれた公共施設のなかで、具体的な方向性が示されていた主な施設は次の通りです。
南部市民センター(島頭4丁目)
- 施設(1993年度建築)の劣化が進んでおり、維持管理コストが高い
- 継続利用するには大規模な改修が必要なので、建物は2027(令和9)年度にも「除却(取り壊し)」する
- 南部市民センターの機能は、「水桜(すいおう)学園(第四中・脇田小跡)」へ2026(令和8)年4月に統合された後の「砂子小学校」(三ツ島6丁目)の建物を改修して移転する
- 南部市民センターを除却後の跡地は「こども発達支援センター」(現門真市民プラザ内)の移転先となる
門真市民プラザ(北島)
- 市民プラザの建物(1980年建設の旧「門真南高校」)自体は2029(令和11)年度に除却を予定
- 市民プラザ内にある各施設については次のような対応が予定されている
- 生涯学習センター/青少年活動センター:2027(令和9)年度に砂子小学校跡の建物に移転・集約
- 門真市民プラザ体育館:2029(令和11)年度に建物は除却するが、市民プラザの敷地も含めた南東地域で新たな「まちづくり」が予定されているため、体育館整備を整備主体も含めて検討
- 市民公益活動支援センター:「会議室」は2027(令和9)年度に砂子小学校跡の建物に移転、「相談・支援」は市役所内で実施
- 市立図書館・門真市民プラザ分館:古川橋駅前で図書館機能を備えた「(仮称)生涯学習複合施設」が2025(令和7)年度に完成し、現在の分館を「本館」化することを予定しており、最終的には2027(令和9)年度に砂子小学校跡の建物に移転する
- こども発達支援センター:2029(令和11)年度に「南部市民センター」の跡地へ移転
- 適応指導教室教育支援ルーム「かがやき」:2024(令和6)年度に4階から3階へ移動、2027(令和9)年度に「地域高齢者交流サロン」(沖町)へ移転
- なかよし広場:2027(令和9)年度に移転するか、なかよし広場の実施手法を見直すことを検討
- 市教育センター:2024(令和6)年度に門真中町ビル(旧松心会館)へ移転
- 防災備蓄倉庫:2028(令和10)年度にも各学校の避難所に防災備蓄倉庫を整備して分散配置し、除却
門真市立歴史資料館(柳町)
- 本館の老朽化に伴い2022(令和4)年8月から館内展示を休止中
- 市民交流会館「中塚荘」(月出町)の大規模改修時期が近づいているため、改修工事を行ったうえで2026(令和8)年度から「歴史資料館」に転換
- 一方、収蔵スペースが不足していることから、現在の歴史資料館は収蔵庫として使用を続ける
上野口保育園(上野口町)/大和田幼稚園(大橋町)
- 2025(令和7)年度に大和田幼稚園を改修し、幼保連携型認定こども園とする
- 上野口保育園は2026(令和8)年度に認定こども園(大和田幼稚園)に移転し除却
市民プラザ周辺の南東部を再開発
再編計画案では、門真市南部の公共施設を代表する「南部市民センター」(島頭4丁目)と「門真市民プラザ」(北島)がいったん消えてしまう計画としており、思わず「南部地域に恨みでもあるのか!」と唸ってしまいそうに……。
1993(平成5)年度に建てられた南部市民センターはまだ築年数が浅く、旧「門真南高校」(1981年開校~2003年閉校)の建物を使った門真市民プラザも、1971(昭和46)年に開校した旧「門真高校」の校舎を使う門真なみはや高校と比べても新しい部類に入るのではないでしょうか。
一方で現在、門真市民プラザから門真団地にかけての一帯では「南東地域まちづくり」が進められており、市民プラザの跡地周辺は「にぎわい・交流拠点形成ゾーン」という名でスポーツ関連機能を整備する考えを示しています。
市民プラザの目の前に広がる田畑も「新たな産業ものづくり企業誘導ゾーン」などとして、企業誘致を図る構想があるとのこと。
周辺再開発の計画が持ち上がっているので、市民プラザの敷地は再開発用地として使う考えがあるとみられ、その“玉突き”で南部市民センターの除却を決めたようにも。市民プラザは元高校の建物を使った大型の複合公共施設なので、たとえ縮小したとしても近くに移転できる先が足りなかったのでしょう。
そして、新たに開校する小中一貫校「水桜(すいおう)学園」(第四中・脇田小跡)への統合によって2026(令和8)年に閉校となる「砂子小学校」(旧水島小学校、三ツ島6丁目)の跡地・建物を有効活用したい考えもあったのでしょうか。
周辺の再開発をきっかけとして、南東地域の公共施設も大きく変わることは間違いありません。
歴史資料館は「中塚荘」へ移す
歴史資料館(柳町)と中塚荘(月出町)の“合併”は、歴史資料館の老朽化や、旧家の邸宅を使った中塚荘が誕生した経緯からして、順当な計画のように思えます。
今後、中塚荘が歴史博物館に変わる際には、門真の名誉市民で同家の主だった中塚種夫・元市長の展示を拡充させてほしいところ。同氏の歩みをたどることで、門真の近現代における象徴的な出来事が見えてくるはずだからです。
今回公表された「門真市公共施設再編計画(案)」は、一応は“計画案”という段階で、意見募集が行われています。
ただ、行政が出した当初案というものは、意見は募集するものの「案」から大きく変えることなく、いつの間にか「本計画」としてしまう、というケースが門真市に限らず多く見られるので、できうる限り市民意見を反映させてほしいと願っています。
(2024年3月8日時点の内容です)
※イメージ写真はいずれも2022年撮影