門真を走る「京阪電車」、大和田駅と古川橋駅の復活が大きな鍵

京阪門真市駅ホーム
再開発

京阪電車の門真市内駅では今、「15分に1本(1時間に4本)」という運転間隔になっている時間帯があることに驚かされます。

新型コロナウイルス禍の影響により、2021(令和3)年9月から昼間を中心に1日あたりの運転本数が15%削減(土休日は20%削減)されており、京阪電車の運転間隔が伸びる結果となりました。

門真市駅の京橋方面時刻表、日中の列車本数が減らされ、平日朝のラッシュ時でも「区間急行」が少なくなった(2022年5月)

その昔、京阪電車の乗客がもっと多かった頃、大阪と京都の府境付近にある橋本駅(京都府八幡市)や、競馬未開催時で高架化以前の淀駅(京都市伏見区)といった大阪・京都の市街地から距離があって、急行も止まらない駅は「15分間隔」となっていました。

当時は橋本駅や淀駅の時刻表を見ると「のんびりしているな」と思ったものですが、現在では京阪電車でもっとも列車の多い「萱島~京橋」間の駅でも橋本駅や淀駅のように列車本数が激減している時間帯も出てきたわけです。

さらに、今では経営効率化のために野江から土井までの各駅は「無人化」され、西三荘、門真市、古川橋、大和田の門真市内4駅でも一部時間帯に駅員がいなくなりました。駅設備の進化もありますが、駅員を置かなくても運営できるだけの客数しかいないということなのでしょう。

京阪の乗客がもっとも多かった頃

線路が4本並ぶ「複々線」区間は京阪電車の象徴的な風景(古川橋~門真市間)

複々線を生かして京阪電車の頻発区間となっている「京橋~萱島」の各駅では、守口市駅と門真の5駅(寝屋川市内の萱島含む)から京橋方面への乗客が多くを占めており、なかでも門真市内4駅は重要な位置付けにあるといえます。

主に寝屋川や枚方市民向けの「準急」に対し、門真市民向けには萱島から守口市までの各駅に停まる「区間急行」が設定され、西三荘駅や門真市駅近くにある超大手メーカーの勤務者も含め一定数の利用者がいましたが、今では区間急行の本数も激減しています。

京阪電車の門真市内駅では、どのくらい乗客が減っているのでしょうか。

大和田寄りの出入口が門真市内に位置し、北巣本小学校の校区市民を中心とした利用が目立つ萱島駅(寝屋川市萱島本町)も含め、「門真5駅」として利用者数(乗降人員)を調べてみました。

まずは、京阪電車の乗客がもっとも多いと言われた頃の数値です。

1990(平成2)年度の乗降客数

乗車人員+降車人員の数、このうちカッコ内は定期利用者数と割合(大阪府統計年鑑より)

  • 西三荘:29,721人(定期20,121人:67.7%)
  • 門真市:32,082人(定期20,514人:63.9%)
  • 古川橋:34,941人(定期20,896人:59.8%)
  • 大和田:42,972人(定期28,554人:66.4%)
  • 萱 島:37,060人(定期25,583人:69.0%)

今から30年以上前の1990(平成2)年、門真の5駅で利用者数が多かったのは、

  • 大和田、萱島、古川橋、門真市、西三荘

という順になっており、「準急」停車駅の萱島より、大和田のほうが賑わっていました

門真団地をはじめとした市内各地と四条畷駅方面へのバスターミナルを持つ大和田駅と、1984(昭和59)年に南口の区画整理で「門真運転免許試験場」への京阪バス発着駅となった古川橋駅の活気にあふれていた頃の様子が目に浮かびます。

1980年代の半ばから古川橋は門真運転免許試験場へのバス接続駅となっている(2022年5月)

各駅で定期券客が6割を超えていた1990(平成2)年当時、古川橋は5駅のなかで定期券客の割合(59.8%)が低かったのも特徴です。

免許試験場を訪れる客をはじめ、当時の市民がまだ新しかった「ダイエー古川橋駅前店」(現「イオン古川橋店」)や、ダイエーが至近に2店舗並ぶことになったことで旧ダイエー古川橋店から転換したディスカウント業態の「トポス古川橋店」(ダイエー系列、2010年閉店=現「門真市立体育館」)などへの買物時に切符を買って京阪電車を使っていたのでしょう。

この頃の門真市駅には「大阪モノレール」の姿はまだ影も形もなく、免許試験場へのバス乗場が古川橋駅に移され、若干元気がなかったようです。市役所へのアクセスも古川橋で降りて、トポスへ行くついでに立ち寄ったほうが便利でした。

西三荘駅は、超大手メーカーの“本社門前駅”として同社勤務者が利用の多くを占めていたとみられます。

準急停車駅で、当時は元気だった寝屋川と門真の両市境にある萱島駅は、門真5駅で2番目の乗降客数を誇ります。朝や夜は準急に乗ると萱島から京橋までノンストップという便利な移動環境としていたことも、当時の通勤・通学客の多さを物語っています。

30年後の現在、激変していた2駅

それから30年、門真の5駅はどう変わったのでしょうか。以下が最新となる2020年度の数値です。なお、コロナ禍の影響を受けている年度ですが、前年の数値から大きく変わっていませんでした。

2020(令和2)年度の乗降客数

乗車人員+降車人員の数、このうちカッコ内は定期利用者数と割合、▲は30年前からの減少数(大阪府統計年鑑より)

  • 西三荘:22,713人(定期11,227人:49.4%)▲7,008人減
  • 門真市:30,439人(定期15,125人:49.7%)▲1,643人減
  • 古川橋:21,929人(定期10,278人:46.9%)▲13,012人減
  • 大和田:22,252人(定期11,656人:52.4%)▲20,720人減
  • 萱 島:27,841人(定期14,768人:53.0%)▲9,219人減

門真5駅の利用者数はどこも減っていましたが、現在の客数順では、

  • 門真市、萱島、西三荘、大和田、古川橋

に変わっています。

大阪モノレールの乗り換え駅となって利用者減を最小限に抑えた門真市駅以外は、4駅とも大きく利用者数を減らしており、なかでも大和田駅ほぼ半減古川橋駅4割近く減少しました。「一体、何があったんだ」と頭を抱えたくなります。

長い木製のベンチに人があふれていた頃が懐かしい(西三荘駅)

古川橋駅については現在、南口の旧門真一中(第一中学校)の跡地などを使った「幸福町・垣内町エリア」で再開発計画が進められており、2026年には41階建て567戸の「タワーマンション」が建てられるなど、今後は駅の利用者数が変わる可能性があります。

また、昭和後期に誕生した北口の商業集積エリア「ラブリータウン古川橋」は今も一定の賑わいを保っていますし、免許試験場の最寄り駅という位置付けも変わっていません。駅の付近では、魔法瓶で知られる全国的な著名家電企業の本社が健在です。

加えて、北口に門真市民文化会館「ルミエールホール」が1993(平成5)年から置かれているだけでなく、南口には市立図書館が門真市駅近くから移転する計画があり、古川橋では再開発と公共施設を核に街が再発展する可能性を秘めています。

なぜ大和田駅の客は激減したのか

大和田駅の南口側にあるバスターミナル、京阪バスの本数も減っている

一方、心配なのは大和田駅です。平成初期に約4万3000人いた乗降客は、30年後の令和初期には2万2250人余にまで減っています。2万もの客はどこに消えたのでしょうか。

かつて駅南口に構えていた総合スーパーの「ダイエー大和田店」(2001年閉店、跡地マンション1階に食品スーパーとして復活)は解体されてマンション化し、周辺商店街を賑わせていた家電量販店の姿も見られず、駅前の都市銀行も撤退しました。パチンコ店だけは何とか残っています。

門真団地や四条畷方面への京阪バスの本数も減るばかりで、平成時代に門真団地の人口が激減しており、バスの利用者も先細りです。

また、京阪電車と並行する“片町線”は、都心部のJR東西線とも直通する「学研都市線」として生まれ変わり、格段に利便性が高まっていて京阪線よりも便利になりました。

大和田駅へ行くより学研都市線・四条畷駅のほうが便利になった(2005年、四条畷駅前)

大和田駅の客が減った背景は色々と考えられますが、一番の要因は駅周辺の人口が減っていることでしょう。

1995(平成7)年と2020(令和2)年の「国勢調査」で比較すると、駅周辺では特に大橋町朝日町、上野口町、常盤町、大池町で人口減の幅が大きく、駅から近い宮野町や野里町、常称寺町では減少幅が小さくなっていました。

もっとも人口が減っていた大橋町は、駅から歩くには若干距離があります。移動時には京阪電車ではなく国道163号線を使ったほうが便利ですし、ロードサイドにはスーパーやホームセンターも位置していますが、車がないと不便なエリアといえ、超高齢化時代には厳しい環境かもしれません。

大橋町の163号線沿いは賑やかだが……

寝屋川市と守口市にはさまれた門真の“出島”のような朝日町も人口減が目立っていました。ここは萱島駅にも近く、そう不便には感じられない地域です。密集住宅の解消事業が門真市内で初めて行われたエリアでもあり、高度経済成長期に建てられた住宅の老朽化もあって居住人口が減っているのでしょうか。

一方、減少幅の少なかった宮野町は、大和田北口の駅前から萱島駅が近いエリアまであり、2駅利用も可能という環境も奏功し、人口を大きく減らしていないのかもしれません。町内にはスーパーもあります。

大和田近くの守口側で大きい人口減

実は、大和田駅の乗降客が激減した最大の要因と考えられるのが、守口市側での人口減です。

大和田駅を最寄りとする藤田(とうだ)町2~6丁目(1丁目は古川橋駅が近い)と東町で大きく減らしており、減少幅は門真市側を上回っていました。

特に藤田町3丁目東町2丁目藤田町6丁目同4丁目での人口減少が目立ちます。

守口市藤田町6丁目にある「大阪国際大学」は萱島と大和田の両駅が最寄りということになっている

かつて帝国女子大学という名だった藤田町6丁目の「大阪国際大学・短期大学」(2021年5月時点の学生数3100人超、大和田駅北口または萱島駅から徒歩約8分)は今も健在ですが、近くの東町1丁目にある系列の「大阪国際大和田中学・高校」(大和田駅北口から徒歩約7分)は今年3月末で閉校となりました。

現状では、門真市側も守口市側でも大和田駅の乗客増につながりそうな要素を見つけづらい状況にあります。古川橋駅と違って、明るい近未来像がなかなか見えてきません。

門真の「072」地域も忘れないで……

市の東側にある大和田駅は門真市内だけども守口市民の利用者も多く、市境の萱島駅は門真市民の利用も多いが寝屋川市に位置する、といった環境もあるためか、どこか門真市政から後回しにされている感もあります。駅付近に住宅や民間商店が密集していて手が付けづらいのかもしれません。

この2駅は守口市と寝屋川市の協力なくしては発展が見込みづらい位置ともいえますが、門真市も努力が必要です。

萱島駅の門真市側出入口(大和田寄り)には駅前広場らしきものは無い

萱島駅では、寝屋川市側の改札を出るとバスターミナルが整備されていますが、駅前まで私有地がひしめく門真市側は、普通自動車がやっと通れるような極端に狭い道路しかありません。京阪が自由に使えた高架下に商店街「エル萱島」や公共の自転車置場をつくるのがやっとです。

門真の発展には、まずは中心部の門真市駅や古川橋駅の周辺を再生させることが重要なのですが、東側の市境エリア、別の言い方では市外局番が「072(2000年までは「0720」)」となっている門真市地域もどうか見捨てないで、と“元0720住民”からのお願いでした。

(2022年5月21日時点の内容です)

当初、門真市内駅などの列車本数について本文中に「20分に1本」と記載していましたが、「15分に1本」の誤りでした。本文を訂正いたしました(2022年5月28日)