拡充する門真の「ネットスーパー」、イオンに続きライフも対応

島頭3丁目の「ライフ」門真店
古川橋駅

この夏(2022年)から門真市内に店舗を置く大手小売チェーンによる「ネットスーパー」が拡充し始めています。

これまで門真市内の全域を配達エリアとしていた「イオンネットスーパー」に加え、「ライフ」も門真店(島頭3)と守口滝井店(2022年7月開店、守口市文園町)の2店舗でネットスーパーを開始し、門真市全域が配送エリアとなりました。

「ライフネットスーパー」は門真市の西側を守口滝井店、東側を門真店がカバーする(ニュースリリースより)

ネットスーパーは、その名の通り、インターネット上(注文サイト上)から注文すると、その日のうちに自宅まで配達してくれる有料サービス(数百円の配送料が必要)。

各店舗のチラシに載っている商品も扱われるが、時間が経つと売り切れることも(「ライフネットスーパー」より)

実際に店舗で販売されている商品を専門のスタッフが売場に出向いてカゴに詰め、レジ袋に移してそれを家まで持ってきてくれるというイメージです。

そのため、注文サイト上では掲載されていた商品でも、店舗で売り切れてしまうと別の商品を提案される場合もたまにあって、スーパーでの“買物代行”に近い存在かもしれません。

「イオンネットスーパー」は門真市全域を周辺3店舗でカバーしており、地域によっては配達店舗を選べる場合もある

門真市内ではこれまで大手の「イオン」が「古川橋駅前店」(末広町)と「大日店」(守口市大日東町)、寝屋川との市境にある四条畷市砂の「イオンスタイル四條畷」の3店舗が門真市内の一部を配送エリアとしており、3店で市内全域をカバーすることにとなっています。

ライフ」も同じようにこの夏、守口滝井店のオープンとともに、同店と門真店の2店舗で門真市内をすべてカバーする形でネットスーパーを始めたものです。

2つの大手チェーン以外では、大和田駅近くにある「ダイエー大和田店」(野里町)も8月24日からネットスーパーに対応しており、こちらは主に大和田駅から萱島駅周辺の地域のみを配送エリアとしています。

ダイエー大和田店でも店舗の周辺地域を中心にネットスーパーを開始した(案内ページより)

夫婦共働き家庭や高齢世帯が増えるなか、店まで買物へ行かなくてもその日のうちに自宅まで届けてくれるネットスーパーは、拡充の一途をたどっています。

(一方、「イズミヤ」のようにこの9月でネットスーパーを突然やめるチェーンもありますが……関西スーパーとの合併余波でしょうか?)

近所の実店舗が販売と配送を担当することで、きめ細かな品ぞろえや迅速な対応を可能としている点は、どこから誰がいつ運んでくるかがよく分からない「米アマゾン」のような“通販サイト”にはできない強みといえます。

門真での「大型スーパー」進出の歴史

今はネットスーパーのような便利な“買物代行サービス”が出てきましたが、門真での大手スーパー進出の歴史を振り返ると、やはり思い出されるのは「ダイエー」です。

ダイエーの古いロゴマーク、左は最初のマーク、右は1973年から2005年まで使用(フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」より)

門真にダイエーが進出したのは1969(昭和44)年7月の「大和田店」が最初でした。

続いて翌年の1970(昭和45)年7月には、大和田店の2.5倍くらいの規模(店舗面積1万3000平方メートル超)で古川橋駅の近く(旧門真六中となり、旧「トポス」の場所)に出店します。

それから3年後、今度はダイエーではなく、門真プラザの完成と同時に「イズミヤ門真店」(現存)が1973(昭和48)年8月にオープンしました。

これにより、大和田、古川橋、門真市の3駅に全国系の大型スーパーが揃い、まだ人口が増えつつあった1970年~80年代の門真市民の買物需要に応えていくことになります。

ダイエー2店、イズミヤ1店の3店体制で安定したのかと思っていたら、古川橋駅前の再開発にあわせ、ダイエーはさらに新店舗の出店を決定。

門真最大の店(店舗面積1万4300平方メートル弱)として、「ダイエー古川橋駅前店」が1984(昭和59)年2月にオープンしました。

古川橋に2つ目のダイエーができる!」というのはかなり衝撃的で、「古いほうはどうすんのや?」と子どもながら余計な心配をしたものです。

たとえ近くにダイエーがあったとしても、創業者・中内功さんの言う「売上がすべてを癒す」という考え方のもとでは、チャンスがあれば新店の出店を優先していたのでしょう。

その後、さすがに近所で同じ店を2つ維持するのは無駄だと思ったらしく、古いほうはディスカウント業態の「トポス」に変わる(閉店末期はまたダイエーに戻った)のですが、1980年代のダイエーは勢いがありました。

郊外型のさきがけ「ライフ門真店」

大和田(ダイエー)、古川橋(ダイエー2店)、門真市(イズミヤ)という門真の「駅前大型スーパー4店体制」に動きが見られたのは1997(平成9)年2月でした。

将来的な「第二京阪道路」の開通をにらみ、建設予定地近くの上島頭・下島頭エリアで再開発が行われ、そこに「ライフ門真店」が誘致されます。

第二京阪道路(写真奥)の開通を見据えて1997(平成9)年2月にオープンした「ライフ門真店」、今はテナントとして「ニトリ」や「コーナン」も入っている

関西と首都圏の限定的なスーパーチェーンである「ライフ」にとって、当時の門真店は最大規模(売場面積約1万500平方メートル)だったといい、力の入れ具合がうかがえます。

ライフ門真店は、門真市内では初めての“郊外型大型スーパー”といえます。

この再開発には、古川橋の駅前再開発と同じ会社(門真企業)が関わっており、古川橋駅前店が入るビルの店子でもあるダイエーにも声をかけたはずなのですが、「駅前」を重視するゆえに関心を示さなかったのか、それとももう力が残っていなかったのかは分かりませんが、ここにダイエーが出店することはありませんでした。

今後、ららぽーとやコストコも進出

その後、ダイエーは経営悪化が一段と進み、2004(平成16)年に産業再生法の適用を経て、2014(平成26)年にはイオン傘下入りするなど縮小の一途をたどり、昔の勢いはまったく見られず、今はイオンの下で知名度の高いブランド名を何とか残しているという状況です。

門真の大規模スーパーのさきがけだった「ダイエー大和田店」は2001(平成13)年に閉店、跡地にはマンションが建ち、ごく一部に平屋の食品スーパーとしてダイエーブランドが残る

門真でも「大和田店」(2001年閉店)や「トポス古川橋店」(旧ダイエー古川橋店、2010年閉店)の撤退、「古川橋駅前店」のイオン化(2016年)と続き、昭和の高度成長期を彩ったダイエーが消えていくことになりました。

現在、ダイエー大和田店の跡地に建てられたマンション1階の食料品スーパーに「ダイエー大和田店」という名をかろうじて残していますが、昔の大型総合スーパーの面影はありません。

一方、郊外型の主役として登場した「ライフ門真店」も2020年4月には店内テナントとして「ニトリ」や「コーナン」を誘致し、ライフ自体は食品を中心とした品揃えとなっています。

この先、門真では松生町のパナソニック工場跡地の再開発で、来年(2023年)春に「三井ショッピングパークららぽーと」、同年夏には「コストコ(Costco)」の進出も予定されています。

中央環状線沿いのこうした大型店は、門真市民の日常的な買い物に今後どれだけの影響を与えるのでしょうか。

この先も門真では人口減と高齢化が続きますので、派手さよりも、ネットスーパーのように生活インフラとして誰もが使いやすい買物環境の整備と維持を望みたいところです。

(2022年9月6日時点の内容です)