門真市の公式サイトは創設22年、“警告トラブル”契機に未来を思う

2000(平成12)年7月に開設した頃の門真市公式サイト(Wayback Machineより)
門真市政

門真市の公式サイト(ホームページ)が公開されてから22年、ドキッとさせられるトラブルを機に市のインターネット上における発信の歴史を振り返ってみました。

今月(2022年)10月24日(月)の朝、門真市の公式サイトを見ようとすると「接続がプライベートではありません」「攻撃者が www.city.kadoma.osaka.jpから個人情報を盗み取ろうとしている可能性があります」などと物騒な内容が表示され、アクセスが事実上できませんでした。

門真市の公式サイト(https://www.city.kadoma.osaka.jp)にアクセスするとこんな「警告」が(2022年10月24日9時30分ごろ)

前日の10月23日(日)夕方くらいからこの状態だったものと推定されますが、週末は市役所が休みということで、週明けの24日(月)に担当者が出勤後に気づいた様子で、同日10時30分ごろには復旧させています。

閲覧者がサイトに接続する際、近年は安全性を上げるために通信の暗号化を行う「常時SSL化」などと呼ばれる安全対策がサイト運営者に求められるようになっており、その対策を行ったサイトは「証明書」を提示しておく必要があります。(サイトのURLが「http」ではなく「https」になっていたら、その証です)。

この“安全マーク”のような証明書は一定の有効期限が設けられており、門真市公式サイトの証明書は期限が切れている、ということで「警告」が出されることになってしまいました。

安全な通信環境を示す「SSL証明書」の有効期限が2022年10月23日(日)16時30分2秒で切れていた様子

門真の試験場へ行く時間がなくて、うっかり運転免許の更新期日が過ぎてしまった、というようなイメージでしょうか。

市民に期限を厳守させる側の行政として望ましくないミスですが、実際にこの証明書の更新忘れは大小問わずどんな組織にも見受けられ、有名企業のサイトが突然見られなくなるというケースもありました。

個人的には、証明書を発行する側のIT(ネット)企業群が手数料を稼ぐ(基本は有料、無料版もある)のためにつくった制度ではないか、と思わなくもないのですが、更新しないと「警告」を出されて事実上サイトを閲覧できなくする今回のようなペナルティが課せられるので、自動更新・自動支払いにしておくのが得策なのかもしれません。

2000年から始まった公式サイト

そんな門真市の公式サイトですが、歴史を振り返ると開設されたのは今から22年前の2000(平成12)年7月でした。

2000年といえば、「IT」とか「IT革命」などという言葉が連呼されていた頃で、自治体の公式サイトとしては遅くもなく、極端に早くもない時期にスタートしています。

2000(平成12)年に開設した頃の門真市公式サイト内の市長あいさつページ、東潤さん(1985年~2005年まで市長)の写真が懐かしい(Wayback Machineより)

この間、2012(平成24)年1月と2019(令和元)年10月に大幅なリニューアルが行われており、現在のサイトは2019年にスマートフォンへの対応を中心としたリニューアルが行われた“三代目”となるデザインです。

2007(平成19)年4月には紙の「広報かどま」を月に2回から1回の発行に減らしたのは、経費節減もあるのでしょうが、行政からの情報発信手段が「紙」からインターネットへと移り変わることを象徴していたのかもしれません。

2012(平成24)年にリニューアルした「二代目」の門真市公式サイト、デザインは洗練されたがスマートフォンへの対応に難があった(Wayback Machineより)

2013(平成25)年には動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」に公式チャンネルと、短文SNS「Twitter(ツイッター)」にも公式アカウントを開設。

門真市公式Twitterでの情報発信は特に目立っており、今回サイトが見られなくなった際もいち早く告知したのはタイムリーで良いことだと思いました。

2013(平成25)年に開設された門真市公式ツイッター(@kadoma_city)、2022年10月24日現在フォロワー数6,033は、守口市公式(@moriguchi_city、4,479)より多いが、寝屋川市公式(@neyagawa_city、7,292)や枚方市公式(@hirakata_city、1.5万)には負けている

インターネット上で門真市の発信力が飛び抜けて優れている、ということは感じませんが、良い意味でそつなくきっちりとこなしているという印象です。

この「門真オンライン(kadoma.online)」と名付けたサイトに掲載した記事は、門真市のサイト内(市議会の議事録含む)から情報を探し出すことが多く、情報公開という点でも大きな問題があるようにも見えません。

再開発に加えネット上のPR対策を

一方、門真市を離れたからこそ思うのですが、門真という街は全国的に見て極めてマイナーです。首都圏や東日本へ行くとつくづく思い知らされます。

門真のこの位置関係を説明するのがきわめて難しい(門真市公式サイトより)

真門市」と間違えて書かれたり、「もんま市」と読まれたりするのはもう慣れましたが、「オレは枚方や」とか「私、豊中の出身です」など、関東圏でも堂々といきなり地名を出すような市の出身者に比べると、どこか肩身が狭く、地名を言い出しづらいのです。場所の説明もしづらいですし。

ある首都圏の企業で、経営者が門真(しかも四宮村エリア)の出身だったことを5年くらい一緒に働いてようやく気まずそうに明かしてくれた、なんてこともありました。

東日本で門真といって即座に分かってくれるのは、パナソニックなどの家電業界関係者くらいではないか、というのが実感です。

だからこそ、ネット上では一歩踏み出すくらいの情報発信を行って、門真の名を広く知らしめてほしいという思いがあります。

2019(令和元)年に始まった「三代目」となる公式サイトはスマートフォンでの閲覧に最適化した

門真という地名は日本でここだけしかなく、ローマ字でも「KADOMA」と6文字で入力できますし、だいたい一回で漢字に変換されるはずなので、検索対策上も有利なのではないでしょうか。

街のイメージを変えるための再開発を進めると同時にインターネット上でも門真のイメージアップを図る対策強化をお願いできれば、と今回のトラブルを機に公式サイトの歴史を振り返ってみて思いました。

(2022年10月24日時点の内容です)