北巣本小は四宮小へ統合、2029年に四宮で校舎建て替え新学校に

北巣本小学校(2022年撮影)
再開発

北巣本小学校(北巣本町)を四宮小学校(四宮2丁目)の場所へ統合するためのスケジュールが具体化しました。

まず、今から2年後の2026(令和8)年度に新たな「統合小学校(北巣本小+四宮小=名称未定)」がいったん北巣本小の校舎を使って誕生します。

その間に四宮小の校舎を建て替え、2029(令和11)年度からは四宮小の場所に完成した新校舎に「統合小学校」を移転するという流れになりました。

北巣本小と四宮小の統合スケジュール。2026(令和8)年度から両校は統合され、当初は旧北巣本小の校舎と仮設校舎を使い、新校舎の建設終えた2029(令和11)年度には旧四宮小の場所へ移る予定としている(2024年3月「四宮小学校・北巣本小学校設立準備会だよりNo.2」より)

つまり、北巣本小5年後に今の場所から消えてしまうことになります。

また、四宮小の児童は建て替え中の2026(令和8)年度から2年間は、暫定的とはいえ北巣本小の場所まで通わなければなりません。

もともと北巣本小は、四宮小から分離する形で今から50年前の1974(昭和49)年4月に開校した歴史を持ちますが、今年2024(令和6)年は四宮小が1874(明治7)年10月の開校から150周年北巣本小50周年という節目を迎えるなかで、大きな変化を迫られることになりました。

四宮小学校(2022年撮影)

学年で1クラスの維持さえ難しく

今回の統合は北巣本小の児童数が減り、今後も増える見込みがなく、このままでは各学年で1つのクラスを維持することさえ難しい、との見通しから15年以上前に統合の議論が始まっています。

門真の小・中学校のどこを統合させるかという議論は、「学校適正配置審議会」(2007年~)という有識者や地元の代表者らによる委員会があり、そこで行われてきました。

四宮小(上)と北巣本小(下)における2023(令和5)年の児童数と2029(令和11)年までの予測推移。四宮小でも減少が予想されており、2029年には北巣本小と統合して両校の児童数を合わせても現在より減る可能性がある(2023年11月24日第1回「第五次適正配置審議会」資料「児童生徒数・学級数予想推移」より四宮小と北巣本小の部分を抜き出して掲載)

昨年(2023年)11月に開かれた同審議会で市教育委員会が公表した資料によると、2023(令和5)年北巣本小における全児童数は149人。6年生のクラスは18人、1年生クラスも20人しかいないといいます。

今から4年後の2028(令和10)年には全児童数が107人まで減り、すべての学年で児童数が25人を切り、1クラスを維持することさえ難しいという予想が示されました。

当初は四宮小を分割統合する方針も

今から17年前に学校適正配置審議会での議論が始まった頃から北巣本小をどうすべきか、という話は話題に上がっていたのですが、それよりも当時の門真市内には統合議論を先行すべき小・中学校(門真一中と六中=はすはな中、脇田小と砂子小と四中=水桜学園など)がありました。

四宮小の校門を入ってすぐの場所には1974(昭和49)年4月に建てられた創立百周年のモニュメント(写真左側)が置かれている(2022年撮影)

また、2008(平成20)年にこの審議会が出した最初の方針が、四宮小を北巣本小と東小学校(岸和田3丁目、1983年開校)の校舎に分割して統合するという内容でした。

校舎の古さなどを考慮しての決定でしたが、旧四宮村時代から150年の歴史を持つ小学校を実質的になくしてしまう方針には地元から大きな反発を招き、最終的には“分家”である北巣本小を“本家”の四宮小へ統合する形に落ち着いています。

萱島駅付近から四宮まで通うことに

北巣本小の校区は京阪萱島駅近くの上島町まで入っており、ここから四宮小まで歩くと大人でも20分はかかり、小学生低学年だと30分以上を要する可能性があります。

門真五中(北巣本小、四宮小、東小)の校区。北巣本小校区のもっとも遠い場所から四宮小までは1.5キロほど離れている(2024年2月5日第2回「第五次適正配置審議会」資料「中学校区ごとの基本情報」より)

以前、少し紹介しましたが萱島駅の定期券利用者のうち、四宮エリアから駅まではほぼ100%の割合で自転車を利用していたという調査結果もあり、大人でも歩くのはなかなかしんどい距離であることを証明しているのではないでしょうか。

萱島駅に近い上島町の府営門真上島住宅あたりからは、四宮小まで通うより上野口小学校(上野口町)のほうが距離的に近いのですが、同小学校も近い将来に大和田小学校(大橋町)と統合する方針が示されており、今は校区を変えることは難しい状況といえます。

また、四宮小の児童が暫定的に北巣本小へ通う際も含めて、国道163号線をどう安全に横断するのかも今後の課題となるでしょう。

跡地活用と密集市街地をどうするか

加えて心配なのは、北巣本小の校区内にある町がさらに衰退してしまわないかという点です。

北巣本小に隣接して建てられていた市立北巣本幼稚園は2014(平成26)年3月に閉園となっており、さらに小学校まで閉校となれば、市の公共施設が消えてしまうエリアとなります。

北巣本小の隣にはかつて市立の北巣本幼稚園もあったが、2014年4月に廃園され更地となった。奥の建物が北巣本小の校舎(2022年7月撮影)

北巣本小校区である北巣本町や城垣町、上島町は萱島駅の徒歩圏内であり、近所には主要国道の163号線も通り、近年は第二京阪道路も開通した比較的交通至便な地域でありながら、人口は減り続けました。

また、校区内のうち城垣町上島町は文化住宅などが密集する「地震時等に著しく危険な密集市街地」として、その解消も求められています。

北巣本小の真横から萱島駅まで城垣町・上島町の一帯が「地震時等に著しく危険な密集市街地」として解消を目指すエリアとなっている。緑地帯が少なく公的な施設も多くない(密集市街地整備アクションプログラム「北東部地区」令和6年3月改定より※寝屋川市域の表示を加筆)

これ以上、町を衰退させないためにも、北巣本小がなくなる2029(令和11)年までには、跡地の活用方法も含めて今後のまちづくりの方向性も決めておく必要があるはずです。

文化住宅や小さな住宅が密集し、人口増の象徴だった北巣本小を半世紀で維持できなくなったことは、このエリアで新しいまちづくりに踏み出さざるを得ないことの証(あかし)ではないでしょうか。

(2024年4月7日時点の内容です)

)この記事は門真市公式サイト内の「門真市学校適正配置審議会」の資料や議事録、「四宮小学校・北巣本小学校の新しい学校づくり」の関係資料、「地震時などに著しく危険な密集市街地の整備アクションプログラム」のページなどを参照しました